公開鍵暗号警察

 以前に通称「Java 警察」のエントリで「公開鍵暗号警察」氏という人のことにちょっと触れた。その後もあちこち(リアルも含む)でネタにされ続けたのだが、その都度コメントで溢れ返りまとまらなくなる。稿を改めて書いてみたい。


ネガティブなコメントが多いのだが、それでもそれだけのコメントを誘発されるからには、彼の言い分が全て支離滅裂なトンデモなものではなく、ある程度は耳を傾けたくなる雰囲気は持っている。
実際、彼が書いた Qiita の記事も評判になっているものがある。ただ、そこを起点に議論が活発になるかと言えば、ならない。

ここらへんの事情をよく表しているコメントがある。

この人の言い分ざっと読んだけど、
「署名を『秘密鍵による暗号化』という言い方はNG。なぜなら、汎用性がないから」
と主張する。その一方で
「署名値求める時『復号』という言い方が正しい。なぜならデフィーらの論文でそういう記載になっていたから」
とかいってる。
なんで、一方では一般性追い求めて、他方では歴史依拠なんだよ(笑)
一貫性ないし、お前のお気持ちで決めたネーミングに他人が従う必要はないよね。
そこらへんのロジック吹っ飛ばして「私の方が正しい」ってなんだそれ?

私が付け加えることもあまりないでしょう。
彼の書いた記事読んでも「部分的には正しいのかもしれないが、全体としてはまとまりが悪く、同意できない。じゃあね」になってしまう理由はここら辺にあるでしょう。

実績がしょぼいということを口にする人も多かった。
警察を自認するくらいだから、さぞや立派な業績をお持ちで・・と思うのだが、表に出している業績は全くない。
調べると AtCoder という競プロサイトでの成績は悪くない(青。けっこうすごいらしい)。でも、こういうのは業績にはならんでしょ。
実際にコーディングする人が慣習を変えて何かを新規に採用するからにはそれなりのメリットが必要で、わかりやすくはプログラム成果物の質や量だろう。
「彼が言っていることを取り入れたら、すごいコードが書けた」みたいなことだ。その予感でもいい。一番説得力あるのは、彼自身が実践することだ。
でも、ないんだな、これが。
前の稿で、そんなに大したものではないが自分たちの仕事をちょっぴり披露したのもこれが理由で、「彼のいうことをガン無視しても、公開鍵暗号に関する実用的なアプリはつくれますよね」ということの実例提示です、はい。

(追記)「暗号周りの設定の実務的な知識はあるのに、プログラミングに接近するような箇所になると解像度が途端に低くなる。ネットワークエンジニアとかああいったタイプの業界の人では?」という指摘があり、あー、なるほどなー、と思った。
私も IT 業界全体に詳しいわけではないが、この業界には日夜サーバープログラムの設定などに明け暮れている人が一定数おり、確かにこういった人たちは設定の細々したことをよく知っている。
この説はあるかもしれませんね。
なんでこんな類推をするかといえば、公開鍵暗号分野でのこの手のタイプとの距離感を掴んでおくため。
どんな技術分野でも、完成品の設定しか知らない人との付き合い方、というのはあるでしょう?そういうこと。



(続く)



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